ヤマメとイワナ、アマゴの寿命を今回は比較してみました。川魚の中でも上流の綺麗な河川でしか見られなかったりもする魚種です。
見た目も美しいことから飼育を試みる方も多いですが、野生下と飼育下での寿命の違いについても確認しておきたいところです。
ヤマメとイワナ、アマゴでは寿命に大きな違いがあるのかご覧ください。
ヤマメとイワナ、アマゴの寿命を比較
ヤマメとイワナ、アマゴの寿命を比較した結果はこちらになります。
※水産庁より
ヤマメ | イワナ | アマゴ | |
平均寿命 | 約2~3年 | 約5~6年 | 約2~3年 |
平均サイズ | 約20cm | 約25cm | 約20cm |
最高寿命 | 不明 | 8年(野生下)、約30年(野生下)など | 不明 |
最高サイズ | 約60cm | 87cm | 47cm |
※平均サイズは釣り場などにより異なります
このような違いになると言われています。
飼育下においては天敵や天災の影響を受けづらいため、平均寿命はさらに伸びると予想できます。
最高寿命については詳しい情報がなく、例えばイワナの最高寿命は「飼育下で8年」という記事や「約30年生きた」との話も耳にしています。
また、面白いことにサイズに関しては、ヤマメの場合は30cmを越えると尺ヤマメと呼ばれ釣ることが難しいと言われていますが、飼育下では約11ヶ月でこのサイズにまで成長する個体がいることが分かっています。
※「大型のヤマメ」より
そのため、サイズが大きいから寿命が長い訳でもなく、最適な水温(約10~18℃)や餌などが急成長させたと予想できます。
また、ヤマメやアマゴは、産卵後はオスとメス共にほとんどが死んでしまいます。
しかし、イワナの場合は数年にわたり産卵します。
このことからも、イワナのサイズや寿命が長い理由としては産卵後の生存率も影響していると予想できます。
ヤマメやイワナ、アマゴの寿命を縮める原因
※アマゴの群れ
ヤマメやイワナ、アマゴの寿命を縮める原因は、
原因
・釣り人のキャッチアンドリリース
・環境の変化
・天敵の増加
・天災の影響
・病気
などが関係します。
釣り人のキャッチアンドリリース
釣り用語で食べない魚を川や海に返すことを「キャッチアンドリリース」と呼びます。
そのため、1度人に釣られた魚は死亡率が高まると言われています。
しかし、「野生イワナの毛鉤釣りによるCatch-and-Release後のCPUEと生存尾数の変化、SUISANZOSHOKU (2001)」によると、野生イワナに対し毛針で釣り上げてキャッチアンドリリースした個体の生存率は98%という結果が出ています。
ただ、初心者と上級者では釣り針を外す技術にも違いがあります。
毛針には返しが付いていない可能性も高いため、比較的魚への負担も少ないと言えます。
※バーブレスフック(返しが付いていない釣り針)を使用することが多い
そのため、海釣りでフグや小さい魚を釣った初心者は良くリリースしますが、長時間手で持ったり無理矢理引っ張ったりするため、リリースした後は弱って浮いている光景も良く目にします。
環境の変化
環境の変化により成長に悪影響を与える可能性もあります。
例えば、ヤマメやイワナ、アマゴは水性昆虫や陸上昆虫、小魚などを食べていますが、彼らが暮らす河川の周りで工事が進めば餌が減る可能性もあります。
また、ダム開発により水位が下がり、住みづらい環境に変わることで死亡率も高まり、産卵ができない可能性も考えられます。
天敵の増加
ヤマメやイワナ、アマゴの天敵は、カワセミやサギ、テンなどの肉食動物です。
また、在来種を食べると危険視されているブラックバスが本来ヤマメが釣れる河川で釣れ始めている地域もあります。
そのため、ブラックバスがヤマメを捕食している可能性も十分に考えられます。
天災の影響
天災によりヤマメやイワナ、アマゴの寿命が縮む可能性もあります。
過去には大雨によりイワナやヤマメの養殖施設の排水ポンプが停止し、土砂の影響でイワナが9万匹死んでしまった事例などがあります。
参考記事:朝日新聞「豪雨で養殖施設が被害、イワナやヤマメ17万匹が死ぬ 県が支援方針」
もちろん野生下でも土砂により環境が変化したり、上手く避難ができずに死んでしまった個体もいます。
病気
飼育下でも起きやすい魚の病気として、
・水腫病
・えら病
・冷水病
などがあります。
養殖施設では野生下よりも密度が高いため、感染力の高い病気が広まりやすい状況となります。
そのため、感染を止められずに大量死する可能性も高まります。
過去に熊原川でヤマメが千匹ほど大量死した事例があり、原因は特定されていませんが、こちらも有害物質の影響や魚病の可能性もゼロとは言えません。
ヤマメやイワナ、アマゴの寿命は環境次第
ヤマメやイワナ、アマゴの寿命は適切な水温など環境次第で伸びる可能性があります。
野生下では天敵や環境の変化などの危険と常に隣り合わせなため、生存率は飼育下より高いとは言えません。
反対に、養殖施設などは数千匹を同じ池で飼育するため密度が高く、病気により死亡するリスクなどもあります。
ただ、平均寿命は飼育下のほうが高いと言えます。
個人でヤマメやイワナ、アマゴを飼育する際にも流れや隠れ家などを用意し、水質管理や餌の確保ができれば平均寿命以上に育てることができると考えられます。