クジラの平均寿命は何年になるのか気になりますよね。
とくにシロナガスクジラは地球上で最大の生き物なため、寿命も最長なのではと疑問の声は少なくありません。
※オニナラタケなどキノコや植物は除く
今回は、クジラに関する
ポイント
・種類別での平均寿命
・死因
・クジラの寿命ギネス記録
こちらについても調査しまとめましたので、参考にご確認ください。
クジラの平均寿命【種類別】
クジラは主にヒゲクジラとハクジラに分けられ、合計で86種類確認されています。
ヒゲクジラ:14 種類
ハクジラ:72 種類
この中から代表的なクジラをいくつか厳選し、平均寿命をまとめるとこのようになります。
平均寿命 | |
マッコウクジラ | 約60~80年 |
シロナガスクジラ | 約80~90年 |
ホッキョククジラ | 約150~200年 |
ザトウクジラ | 約45~50年 |
ミンククジラ | 約50~60年 |
セミクジラ | 約70年 |
ゴンドウクジラ | 約45~60年 |
コククジラ | 約70年 |
イワシクジラ | 約70~74年 |
ニタリクジラ | 約50~60年 |
ツチクジラ | 約54~80年 |
マッコウクジラの平均寿命
マッコウクジラの平均寿命は?
平均寿命:約60~80年
全長:約15~20m
マッコウクジラの平均寿命は約60~70年と言われていますが、中には70~80年生きた例も報告されていることから、もっと長く生きる可能性は十分にあるのではと予想します。
2023年1月に大阪の淀川に迷いこんで亡くなった「淀ちゃん」もマッコウクジラでしたが、歯の断面による成長層から判断した結果、年齢は46歳であることが分かっています。
外傷もなく寿命とは考えられないため死因は不明ですが、感染性などの理由が関係している可能性もあります。
また、マッコウクジラの天敵はシャチになるため、メスや子供がシャチに襲われる被害も含めると平均寿命はさらに短くなると言われています。
⇒シャチの天敵【一覧】人間が絶滅させる?マッコウクジラやサメとの生存争い
シロナガスクジラの平均寿命
シロナガスクジラの平均寿命は?
平均寿命:約80~90年
全長:約24~27m
※メスの方が大きい
シロナガスクジラは、現在地球上に存在する生き物の中で最大の生物です。
そのため、平均寿命は「約80~90年」と100年ほど生きると言われています。
中には200年生きたとの報告もありますが、これはこの後に解説しますホッキョククジラのケースだと思われます。
記録では110歳だとニュース記事でも紹介されていたりもしますが、最大種のシロナガスクジラであれば、もっと長寿の個体もいるのではと考えます。
ホッキョククジラ(北極鯨)の平均寿命
ホッキョククジラ(北極鯨)の平均寿命は?
平均寿命:約150~200年
全長:約18~25m
ホッキョククジラの寿命は、これまで「約60~70年」と言われていました。
しかし、最新の研究によると、中には「約150~200年」ほど生きている個体も少なくはないことが分かってきています。
最も長寿の記録は211歳とされ、クジラの中では最長です。
DNA解析によると、ホッキョククジラの寿命は268年にも及ぶと言われているほどです。
さらに、90歳を越えるメスの個体が繁殖できることにも驚きです。
参考記事:wikipedia
ザトウクジラの平均寿命
ザトウクジラの平均寿命は?
平均寿命:約45~50年
全長:約13~16m
ザトウクジラで報告されている最長寿命は77歳です。
平均寿命は「約45~50年」とマッコウクジラやホッキョククジラよりも短いことが分かります。
しかし、中には100年ほど生きると解説されている記事もあり、明確な根拠は記載されていないため、信憑性は低いと言えます。
ミンククジラの平均寿命
ミンククジラの平均寿命は?
平均寿命:約50~60年
全長:約6.5~11m
ミンククジラは、ナガスクジラの仲間の中で最も小型のクジラです。
最大体長もオスで約10.7m、メスで約9.8mと言われており、オスの方が大きいようです。
セミクジラの平均寿命
セミクジラの平均寿命は?
平均寿命:約70年
全長:約13~20m
セミクジラは、頭部が全長の1/4を占めることに特長のあるクジラです。
温暖化の影響でホッキョククジラとのハイブリッドが発見されていることでも問題視されている種でもあります。
繁殖頻度も非常に遅いと言われており、個体数が少ない種でもあるため、漁業との事故死など不慮の事故も避ける必要がありますね。
ゴンドウクジラの平均寿命
ゴンドウクジラの平均寿命は?
平均寿命:約45~60年
全長:約2~6m
ゴンドウクジラはクジラの中で最も小型であり、平均寿命はオスが約45年、メスか約60年と言われています。
ゴンドウイルカと呼ばれることもあります。
実際にカズハゴンドウとシワハイルカの交配種がハワイで発見されています。
コククジラの平均寿命
コククジラの平均寿命は?
平均寿命:約70年
全長:約12~14m
コククジラは、ヒゲクジラの中でも小型の部類にはいり、寿命も最長で約70年と言われています。
人間による捕獲で20世紀初期には絶滅の危機に瀕していましたが、個体数を増やし絶滅危惧種のリストから外れるほどにまで回復しました。
イワシクジラの平均寿命
イワシクジラの平均寿命は?
平均寿命:約70~74年
全長:約15.5~18m
イワシクジラも比較的クジラの中では大型であり、寿命も最長で約74年と言われています。
日本でも捕鯨を行っている種類であり、現在は絶滅危惧種に指定されています。
ニタリクジラの平均寿命
ニタリクジラの平均寿命は?
平均寿命:約50~60年
全長:約13~16m
ニタリクジラも日本で捕鯨されている種類に含まれ、国内で流通するクジラの大半はニタリクジラです。
平均寿命は他のクジラよりも少し短い「約50~60年」となります。
性成熟は約7~10歳とされ、妊娠期間も約1年(11ヶ月)と長く、2~3年に1年か妊娠しません。
現在は絶滅危惧種に指定はされていませんが、いずれは指定される可能性は十分に考えられます。
ツチクジラの平均寿命
ツチクジラの平均寿命は?
平均寿命:約54~80年
全長:約11~13m
ツチクジラはクジラの中でも小型の部類にはいりますが、意外と寿命は「約54~80年」と長く、オスの寿命は最長で84歳と記録されています。
これは捕獲されたツチクジラの最長寿命なため、実際にはもっと長寿のツチクジラが生存している可能性は十分に考えられます。
他にもイルカやシャチもクジラの仲間であり、違いは体の大きさだけです。
※イルカは体長約4m以下のクジラ、シャチは体長4m~8mほどのクジラを指します。
どのような違いがあるのか、参考にこちらをご確認ください!
イルカの平均寿命について
⇒
シャチの平均寿命について
⇒【シャチの平均寿命】子供の死亡率が43%?野生下と水族館での違いなど
クジラの寿命【ギネス記録】
ここまでの解説でも分かるように、クジラの仲間で最も長寿だと言われているのはホッキョククジラであり、推定211歳とされています。
しかし、地球上にはまだまだ捕獲されていない個体、未確認のクジラもたくさん生息しています。
私達が解説しているクジラ達の平均寿命も長寿記録も現在の記録であり、数年後には数値が大きく変わっているかもしれません。
また、脊椎動物の長寿記録はホッキョククジラでしたが、デンマークのコペンハーゲン大学などの研究チームにより推定392歳のニシオンデンザメが発見されています。
クジラの寿命【調べ方】
クジラの寿命は、そもそもどのように測定されるのか気になりますよね。
実は、私達が予想していない方法で測定されています。
ヒゲクジラの場合
ヒゲクジラの場合、耳アカで寿命を調べます。
クジラは、耳の穴が表面近くで閉じており、内側の外耳道にもアカはたまります。
耳アカは季節や食生により色や性質が異なります。
冬は子育て、夏は餌を集中して食べるじきのため、例えば夏の耳アカは油分が多く白っぽくなります。
反対に、冬は油分が少なくなるため黒っぽくなります。
木の年齢は年輪で調べたりもしますが、クジラの耳アカはこの木の年輪に似た模様になっており、1年おきに明暗の層ができるため、この年輪を数えることで年齢が分かります。
ハクジラの場合
ハクジラ類の場合は、耳垢ではなく歯を確認することで年齢が分かります。
ハクジラ類の歯を輪切りにすると、こちらも木の年齢のような層があり、この層を目安に年を数えることが出来ます。
とはいえ、クジラの年齢は捕獲して解剖しなければ分からないことが欠点ですね。
大きいクジラほど長生きなのか?
大きいクジラほど長寿の傾向にはあります。
しかし、比較的小型のツチクジラは体長が約11~13mですが、オスの寿命は最長で84歳と記録されています。
ニタリクジラはツチクジラよりも少し大型ですが、平均寿命は約50~60年とツチクジラと大差はありません。
長寿記録ではツチクジラが上ですが、あくまでも発見・記録されているものとなりますので、実際にはニタリクジラの平均寿命はもっと長い可能性もあります。
ホッキョククジラはシロナガスクジラよりも少し小型ではありますが、寿命はシロナガスクジラよりも約2倍の差があります。
現在の記録が正しければ、クジラの寿命は体の大きさよりも、体の構造や習性、生息域などにより異なるのではと考えます。
クジラの死因【プラスチックなど】
クジラの寿命には生存率も関係します。
クジラは地球上最大の生き物ですが、天敵も存在します。
その代表的がシャチです。
マッコウクジラやセミクジラなどの子供を襲ったりもします。
また、クジラの死因には人間の漁業も関係します。
死体解剖によると、クジラの死因の約40%は漁具に引っ掛かったり、船との衝突だと判明しています。
※米国海洋大気庁(NOAA)が過去6年間に調査した178頭のザトウクジラの死因検証から(フロリダ州からメイン州まで)
また、他にも動脈硬化やウイルスなどが原因で命を落とすクジラも少なくありません。
鯨類のシャチやイルカも同様です。
この問題にも人間の環境汚染などが関係しているため、クジラにとって最大の天敵は人間と言っても過言ではありません。
クジラの平均寿命によくある【Q&A】
クジラの平均寿命に対しよくある質問をまとめましたので、参考にご確認ください。
水族館のクジラは長生き?
「水族館にクジラがいるのか?」と聞かれれば、答えは「YES」です。
しかし、シロナガスクジラやマッコウクジラなど大型のクジラは水族館にはいません。
いるのは鯨類のイルカやシャチなどになります。
そのため、「水族館で飼育されているバンドウイルカやシャチは野生下よりも長生きなのか?」という話となりますが、結論は水族館で飼育されているイルカは短命だと言えます。
その理由についてはこちらの記事をご確認ください。
⇒【イルカの平均寿命】水族園のイルカは短命?種類別に比較した結果
クジラは癌にならないから長生きできる?
ヒゲクジラとハククジラの遺伝子を塩基配列を決定する解析「DNAシークエンシング」でクジラがもつとされている1077の癌を抑制する遺伝子を調査した記録があります。
その研究によると、そのうち11の遺伝子が長寿に関連していることを特定したとのことです。
※遺伝子の異常を修復する能力が人間よりも高い
そのため、クジラは人間に比べて癌で死亡する割合は低いと言えます。
クジラの平均寿命はまだ謎である
クジラの平均寿命は、種類により大きく異なります。
とくにホッキョククジラは最長で211歳と長寿であり、他のクジラを大幅に上回る平均寿命です。
まだ確認・調査されていない個体も多いため、私達が想像する以上にクジラの寿命は長いのかもしれませんね。
また、天敵による被害も考慮すると、クジラの平均寿命はもっと短くなる可能性も考えられます。