カナヘビの平均寿命は何年なのか気になりますよね。
一般的には「約7年」と言われています。
しかし、この平均寿命は飼育下なのか、野生下なのかにより異なります。
この違いでカナヘビの平均寿命には2倍以上の差が出るとも言われています。
さらには、種類により平均寿命が異なることも分かってきました。
今回は、長生きさせる秘訣やギネス記録などについても触れつつ解説していきます。
ニホンカナヘビの平均寿命
カナヘビの平均寿命は、冒頭でもお伝えしたとおり約7年との意見が多い状況です。
しかし、中には別の意見も多く、どの意見も信じて良いのか分からない状況です。
そして、後半に解説しますが、これは「ニホンカナヘビ」に限った平均寿命を指します。
全体で考えると、日本に生息するカナヘビの平均寿命は異なるため、この章では最もメジャーなニホンカナヘビに焦点をあわせ解説していきます。
一般的な平均寿命
「ニホンカナヘビ 寿命」とGoogleやYahooで検索すると、約7年との意見が多い中、
注意
・約10年
・約5~8年
・約7~8年
このように意見はバラバラです。
そして、ニホンカナヘビの寿命を調査した研究結果も見つかっておらず、7年生きた記録もほとんどありません。
そのため、このニホンカナヘビの平均寿命が約7年との情報も怪しいと言えます。
ただし、調査した結果、1971年にトカゲ(Takydromus tachydromoides)の平均寿命について京都教育大学叢書Bにて「卵から孵化させた個体の飼育条件下での寿命は、7年以上であることを示す」との記載が見つかっています。
※何個体でのデータなのか記載がないため、情報量不足の可能性もある
結論ですが、飼育下では飼育環境を整え、栄養管理等も徹底すれば7~10年以上生きる可能性があると意見が最有力情報です。
野生下では天敵に襲われる可能性や天災など、トータルで判断すれば平均寿命は2~3年以下になるかもしれません。
とはいえ、正確なデータはないため「不明」が正解でしょう。
また、これらはカナヘビの種類により異なる可能性があるため、後半で解説します。
まずは野生下での平均寿命について確認していきましょう。
野生下での平均寿命
そもそも爬虫類や両生類、昆虫など多くの生き物は野生下と飼育下で平均寿命は異なることがほとんどです。
飼育下であれば、天敵に襲われて死ぬリスクも抑えられ、最適な栄養補給と健康管理も可能なため寿命は伸びやすいと言えます。
そして、このニホンカナヘビの野生下での平均寿命においても意見は分かれており、
注意
・約7~8年
・約5~7年
・約4~5年
このように、4年と7年ではかなりの差がありますし、やはり数値に根拠の解説がないため信用できる情報ではないと言えます。
そして、野生下での個体のみを調査した正確なデータも見つかりませんでした。
そのため、大人に成長できずに死んでしまう個体も含めると、野生下での平均寿命は2年もないかもしれません。
結論は「不明」としか言えないでしょう。
主な死因
野生で生きるニホンカナヘビの死因ですが、
天敵
・モズなどの鳥類
・カマキリ
・イタチ
・カエル
など様々な生き物に補食されるケースが多いと言えます。
そして、カナヘビ同士で生死をかけた戦いもします。
⇒カナヘビは共食いする?親子など多頭飼いするのは絶対にNGなのか?
また、水害など天災による死因も含まれます。
飼育下での平均寿命
日本で唯一、カナヘビ専門の研究者であり、東海大学名誉教授である竹中践教授は、某テレビ番組内で「飼育下でのカナヘビの寿命は約10年」と発言されています。
そのため、先ほどの京都教育大学叢書Bの情報と合わせれば、ニホンカナヘビの飼育下での平均寿命は約7~10年以上だと言えます。
主な死因
ニホンカナヘビの飼育は意外と難しく、よくYouTuberが「カナヘビ飼育始めます」と紹介し、1本動画をUPして更新が止まることも珍しくありません。
もちろん死んでしまったとは限りませんが、中には
注意
・くる病になって死なせてしまった
・エサを食べなくて餓死した
・飼育環境が悪かった
などの理由で死なせたとの動画も複数見つかります。
とくに多いのが餌問題でしょう。
くる病の主な原因は、カルシウムや紫外線の不足です。
ただコオロギなどの餌を与えればいい訳ではありません。
子供のニホンカナヘビの場合、私も思うように食べてくれずに死なせてしまった経験があります。
飼育難易度は低くないため、しっかり紫外線対策や餌対策も徹底しなければ、ニホンカナヘビの平均寿命は飼育下だとしても1年以下になることは珍しくありません。
ニホンカナヘビの長寿ギネス記録は?
ニホンカナヘビの長寿ギネス記録について調べましたが、データは見つかりませんでした。
「10年以上長生きした」という正確なデータも見つかっていないため、カナヘビの寿命最長記録は不明だと言えます。
※2024年時点
【カナヘビの種類別】平均寿命の違い
意外と知られていないのは、日本に生息するカナヘビが6種類いることです。
それぞれ種類ごとに平均寿命は異なるのか、今回はこれまで解説してきたニホンカナヘビを除いた5種類をピックアップし解説していきます。
アオカナヘビ
沖縄島、沖永良部島、徳之島、奄美大島などに生息しているカナヘビですが、生息数は激減している種類です。
平均寿命について調べたところ、
注意
・約5~8年
・約10年
・約5~10年
このように意見も様々です。
しかし、アオカナヘビの場合も平均寿命に関する詳しい記録は見つかっておらず「不明」です。
ミヤコカナヘビ
宮古諸島に分布するカナヘビで、こちらも2019年6月に沖縄県の天然記念物に指定されています。
ワシントン条約には記載がないことから、違法に乱獲され数を減らしたと言われています。
現在は採集も禁止されています。
2017年から円山動物園と上野動物園で飼育が始まり、現在はかみね動物園でも見ることができます。
平均寿命についても詳しい記録は見つからず、平均して5~7年と言われてはいますが「不明」です。
サキシマカナヘビ
サキシマカナヘビは、八重山諸島や西表島などに分布するカナヘビ属最大の種。
こちらも採集は禁止されています。
他のカナヘビ同様、平均寿命は約5~7年などの意見が多い状況ではありますが「不明」です。
アムールカナヘビ
アムールカナヘビは、国内では対馬に生息し、他にもロシアや朝鮮半島などにも生息します。
環境省レッドリストでは準絶滅危惧にも指定されています。
アムールカナヘビの平均寿命に関する情報はほとんど見つからず「不明」となります。
コモチカナヘビ
コモチカナヘビは、国内では北海道北部の湿原に生息する種類となります。
私も実物を見たことがないため、大変興味があります。
平均寿命ですが、E.C.PLANETさんによると「平均約2~3年と短い」とのことです。
参考記事:E.C.PLANET
そのため、他のカナヘビの種類が平均7年だとすれば、コモチカナヘビの場合は大きく異なると言えますね。
ニホンカナヘビを長生きさせる【ポイント・注意点】
我が家にもニホンカナヘビが5匹いますが、長生きさせる飼育ポイントや注意点について解説をしていきます。
先ほど解説しました飼育下での死因について再確認し、こちらを読み進めると分かりやすいでしょう。
カルシウムを与える
カルシウム不足は、カナヘビの死因にも大きく関係するくる病の原因となります。
私は毎回コオロギなどの餌にカルシウム剤をまぶして与えています。
カルシウム剤はホームセンターのペットコーナーでも販売していることが多いので、手軽に購入できます。
通販ならもっと安く購入することができるので、私はいつもcharmさんで購入しています。
|
照明機器を設置する
カナヘビに紫外線は欠かせません。
生き物観察をしに行くと、野生のカナヘビが日向ぼっこをする姿をよく目にします。
この紫外線の効果により、体温調節や脱皮促進、くる病予防などに期待ができます。
一般的に「3時間程度は必要だ」と言われていますが、中には「朝の15分程度で十分だ」との声も耳にします。
しかし、我が家のカナヘビ達は、紫外線ライトの前で数時間温まっていることも珍しくありません。
以下の動画では、紫外線ライトで6時間の日光浴をさせており、カルシウム剤による対策もしていたがくる病にかかってしまったようです。
今では9~10時間は日光浴させるとのことです。
脱水にならない程度に抑える必要がありますが、水飲み場や隠れ家も用意しておくことで対策はできるでしょう。
とはいえ、夏場の直射日光などケージ内の温度はすぐに上昇するためご注意ください。
100均でも飼育は可能ですが、注意点もあるため必ずご確認ください!
⇒ニホンカナヘビ飼育を100均で揃えるには?
水飲み場を用意する
カナヘビは口から水分補給をするため、水飲み場も常に用意しておくとよいです。
たまに顔を近づけてペロペロと舐める様子を見ることができます。
紫外線ライトを付けっぱなしにしてしまった場合など、水飲み場があれば脱水予防にもなります。
このミスだけで死んでしまう可能性もあるため、寿命云々の問題ではなくなります。
餌は数種類試す
カナヘビの餌と言えば、コオロギやワラジムシ、ゴキブリ、ミルワームなど様々です。
しかし、個体により餌には好みがあり、「Aはミルワームが好きだけど、Bはコオロギにしか反応しない」なんてこともあります。
そのため、餌は数種類用意しておくといいです。
人工餌を食べる個体もいますが、我が家のカナヘビ達はほとんど食べてくれません。
1つオススメなタイプとして、「バグプレミアム」のようなカルシウムが豊富な餌(アメリカミズアブの幼虫を乾燥させた餌)を置いておくと食べるため、旅行時は入れておくと便利です。
|
隠れ家を用意する
カナヘビは、常に外に出て動き回る生き物ではありません。
昼間でも物陰に隠れることはあります。
とくに夜は外に出ることもなく隠れ家で寝ていることがほとんどです。
そのため、隠れ家がないとストレスを溜めやすく、寿命を縮める原因の1つになります。
温度管理に注意する【カナヘビは冬眠させないと短命になる?】
飼育下でカナヘビか死ぬ原因の1つは、意外にも「冬眠」です。
野生のカナヘビであれば、冬眠に備え食事管理をすると言われています。
冬眠する条件の1つとして、「気温が15℃以下になること」と解説する記事もありますが、我が家のカナヘビ達は15℃以下でも冬眠はしませんでした。
※暖房の調子が悪くなったため
観察してみたところ、気温が10℃以下に落ちた日は動きが鈍くなり、15℃前後の状況でも日向ぼっこしに外に出てきました。
飼育下であれば、この温度調節を徹底しなければ、
注意
・ある日は10℃以下
・ある日は-1℃
・ある日は25℃
このように気温がコロコロ変わっては、カナヘビも体調不良を起こし死んでしまうでしょう。
例えば、暖房のきいた部屋で飼育していた個体に対し、急にケースごと氷点下の屋外に出し冬眠させようとした場合、うまく対応できずに死んでしまう可能性は高まるでしょう。
飼育下での冬眠は寿命を縮める原因の1つと言われているため、カナヘビが過ごしやすい適温で最適な飼育環境を徹底してあげるべきです。
カナヘビの寿命は目安でしかない
カナヘビの平均寿命は、コモチカナヘビのように約2~3年の種類もいれば、ニホンカナヘビのように7年以上と言われる種類もいます。
この平均寿命は、専門家の意見や文献を参考にしているため信憑性は高めですが、他にも素人がネットから拾ってきた根拠のない平均寿命を紹介しているケースがかなり多い状況です。
また、飼育下での餌や温度管理なども徹底しなければ、野生下よりも短命となります。
カナヘビの寿命については、まだまだ研究する価値がありそうですね!