アメリカザリガニの寿命について調べると、「寿命がない」「20年以上生きる」など意見は分かれます。
最近では、アメリカザリガニもホワイト、ブルー、ブラック(シザー)などカラーも様々です。
実際に私もアメリカザリガニを飼育していることから、長寿のコツも解説していきます。
また、日本と海外のザリガニの種類による寿命の違いだけでなく、「ロブスターの不老不死説」についてもまとめましたので、参考にご覧ください。
【ザリガニの寿命】間違った噂について
アメリカザリガニを始め、ザリガニの寿命について調べると様々な意見が見つかります。
注意
・寿命はない
・20年以上生きる
・野生下では5年程度だ
・平均で約5~6年である
どの意見を信じていいのか分かりませんよね。
アメリカザリガニの平均寿命を調べると、ネットでは「平均3~5年」「平均10年」と最大7年もの差があります。
この差は、私達人間に比べて平均寿命が短いザリガニにとっては非常に大きな差です。
噂はあくまで噂であり、環境や餌など条件が同じ状況で飼育しなければ、平均寿命についてもはっきりと分かりません。
このあと詳しく解説していきますが、ザリガニの寿命は種類や飼育下、野生下でも異なります。
それでは、アメリカザリガニのカラーによる寿命の違いも含め、ザリガニの平均寿命を確認していきましょう。
ザリガニの平均寿命について【種類やカラー別】
ザリガニの平均寿命は、種類により異なります。
そのため、
ポイント
・アメリカザリガニ
・ニホンザリガニ
・ウチダザリガニ
・ミステリークレイフィッシュ
※単為生殖する(1匹でも増える)
・タスマニアオオザリガニ
※世界最大のザリガニ
このように種類ごとに確認する形が良いです。
それでは、私達と最も身近なアメリカザリガニから確認していきましょう。
アメリカザリガニの平均寿命
アメリカザリガニの平均寿命は、ネットの情報から平均をとると、
飼育下:約3~4年
野生下:約5年
このように、野生下のほうが飼育下よりも寿命が長い傾向にあると言われています。
他の生き物では、飼育下のほうが冬眠や天敵の関係から長生きしやすい傾向にありますが、アメリカザリガニの場合は越冬(休眠)と水質管理の影響から飼育下では寿命が短くなると言われています。
とはいえ、飼育下でも5年以上生きる個体はいます。
環境省でも「アメリカザリガニは飼育下で5年ほど生きる個体がいる」と記載されています。
参考記事:環境省
https://twitter.com/takayukiigokura/status/1579479383013662720?t=0Ly8XPnGqttdIR1zb-QNJg&s=19
災厄だ。5年飼育したザリガニ♂が星になってた。♂って2年くらいで動き鈍くなっちゃう。やっぱり冬眠させないと短命なのかな泣
— dummy@ザリガニ飼育 (@Dummy23939901) June 14, 2021
ニホンザリガニの平均寿命
ニホンザリガニの平均寿命は、飼育下での情報はほとんどないため、全体的な数値とさせていただきます。
平均寿命:約5~10年
ニホンザリガニの場合、低水温を好むため、飼育下では水温管理が難しいこともあり、死なせてしまう可能性が高いと言われています。
そのため、アメリカザリガニよりも平均寿命は長めではありますが、飼育下でのデータを含めると約5年と短くなるのではと予想します。
ウチダザリガニの平均寿命
ウチダザリガニも外来種のザリガニです。
札幌市内で生息が確認されているため、あまり耳にしたことがない方も多いのではないでしょうか。
サイズは最大で約15cmにもなる大型のザリガニなため、平均寿命も長めです。
平均寿命:約10年
ウチダザリガニは特定外来生物に指定されているため、飼育は原則禁止されているためご注意ください。
参考記事:環境省
ミステリークレイフィッシュの平均寿命
引用画像:ナショジオ
ミステリークレイフィッシュは、数年前までヤフオクでも1匹1,000円以下と安く出品されていました。
その理由は、単為生殖する(1匹でも増える)ため、初心者でも簡単に繁殖させることができるザリガニなためです。
しかし、2007年に北海道札幌市の西岡公園で発見され、現在は特定外来生物に指定されているため飼育は原則禁止されています。
サイズは最大でも約9cmとなるため、寿命も他のアメリカザリガニより短めとなります。
平均寿命:約3年
タスマニアオオザリガニの平均寿命
タスマニアオオザリガニは、平均体長が約20~30cmと世界最大のザリガニです。
そのため、平均寿命も他のザリガニと比較しても別格です。
平均寿命:約40年
タスマニアオオザリガニは、現地でも捕獲が禁止されているため、購入して飼育することはできません。
ロブスターの平均寿命
「ロブスターはエビじゃないの?」とよく耳にしますが、実はザリガニの仲間です。
ポイント
アメリカザリガニ:エビ目・ザリガニ下目・アメリカザリガニ科
ロブスター:エビ目・ザリガニ下目・アカザエビ科
伊勢海老:エビ目・イセエビ下目・イセエビ科
このように、どちらも「ザリガニ下目」に分類されています。
伊勢海老は、「イセエビ下目」のため、ザリガニではありません。
ロブスターの寿命についてですが、実は「ロブスターには寿命がない」と言われています。
この噂が本当だとすれば、ロブスターの寿命については不老不死であり「不明」ということになります。
平均寿命:不明?
こちらは後半で詳しく解説していきます。
ザリガニの寿命【ギネス記録】
ザリガニの中でも長寿の種類はタスマニアオオザリガニやロブスターであることが分かりました。
タスマニアオオザリガニの寿命は、最長で約60年ほどだと言われています。
The species is long lived and known to live up to 60 years of age and attain weights of up to 6 kilograms (13 lb), however in recent years specimens of 2–3 kilograms (4.4–6.6 lb) are considered large.
本種は長寿で60歳まで生き、体重は6kgに達することが知られているが、近年では2~3kgの標本が大型とされている。
しかし、タスマニアオオザリガニの寿命に関するギネス記録は見つかっていません。
参考記事:ギネス記録
ロブスターの場合、先ほど解説したように不老不死との噂があるため、この噂が本当であればギネス記録も関係ないレベルですよね。
しかし、現在ロブスターの最長寿命だと予想されているのは、Wikipediaにも記載されているニューヨークのレストランで飼育されていた140歳のロブスターだと言われています。
140-year-old lobster rescued from seafood restaurant to be returned to the ocean by animal rights activists
シーフードレストランから救出された140歳のロブスター、動物愛護活動家により海へ戻されることに!
参考記事:mail online
しかし、不老不死と言われているロブスターが140歳で長寿と言うのもおかしな話ですよね。
では、このロブスター不老不死の噂について確認していきましょう。
ザリガニ(ロブスター)には寿命がない?
「ザリガニには寿命がない」と噂されている理由ですが、こちらはロブスターの不老不死説が関係しています。
この不老不死説の理由ですが、
理由
・内臓ごと脱皮する
・テロメラージが活発に働く
こちらが関係すると言われています。
内臓ごと脱皮する
ロブスターは、内臓ごと脱皮をするため、消化途中の食べ物が残っていることもあるようです。
そのため、病気にもなりにくいと噂されています。
しかし、実際に脱皮するのは消化器の内壁であり、脳や心臓などはそのまま残るため、老化する部位はあるということですね。
病気や脱皮不全で死んでしまう個体もいることから、脱皮によりロブスターが不老不死になることはないと予測できます。
テロメラージが活発に働く
生き物の寿命には「テロメア」も関与しています。
このテロメアが細胞分裂し、短くなることで老化が進んでいきます。
このテロメアの働きに対し、ロブスターはテロメラージが活発に働くことでテロメアを再生するため、結果的に老化を抑えると言われています。
このテロメアがある程度の長さまで短くなることで老化が始まることが明らかになっているため、ロブスターは老化しないのではと考えられますよね。
とはいえ、寿命で亡くなっている個体は多くいることもあり、不老不死との噂はデマだと言えますが、長寿のコツを秘めている生き物ではあると言えますね。
ザリガニの平均寿命は環境、餌、天敵などで異なる
ザリガニの平均寿命ですが、あくまでも野生下や飼育下、さらに環境、餌、天敵など様々な要因が関係してきます。
そのため、ある地域のアメリカザリガニの平均寿命が5年だったとしても、別の気温が低い地域での場合はさらに1年ほど平均寿命が短い、または長い可能性もあります。
天敵が少ない地域であれば、生き残る個体も増えるため平均寿命はさらに伸びるはずです。
ザリガニは種類や個体にもよりますが、産卵数は数十から数百とかなりの数を産みます。
それだけ天敵などに対し生存率を上げる必要があるということです。
犬や猫のように餌の改良が進めば、さらに寿命が伸びる可能性まであります。
ザリガニの寿命を伸ばす【コツや注意点】
ザリガニの寿命を伸ばすためには、いくつか注意点があります。
このザリガニが死ぬ可能性が高まる注意点から考えて対策することがポイントです。
飼育しているザリガニが死ぬ原因は、主に
ザリガニの死因
・水質悪化
・餓死
・酸欠
・共食い
・冬眠の失敗
・脱皮の失敗
こちらになります。
水質悪化
水質は、基本的にザリガニは汚い水でも生き抜くことができるため強い生き物ではありますが、餌をたっぷりあげていても透明度がゼロの濁った状況では底にヘドロが溜まっていき、死ぬ確率も高まります。
掃除をする時には、既にザリガニは溶けて原型をとどめていないかもしれません。
餓死
餌不足による餓死もザリガニ死因に多いと言われています。
ザリガニの餌は、朝夜1回ずつ与える必要がありますが、数日与え忘れていれば頑丈なザリガニでも死んでしまいます。
※落ち葉など何もない状態
ザリガニは見た目だけで痩せているか区別がつきづらいため、しっかり餌を食べているか確認しましょう。
酸欠
酸欠も油断できない死因です。
ザリガニは飼育ケースに入れておけば育てることができると勘違いしている方も多いですが、たしかにDAISOなどの飼育ケースにエアレーションなしでも育てることはできます。
⇒ザリガニの飼育にエアレーションは必要?【ポンプなしでも死なない根拠】
しかし、野生下のザリガニは用水路や川に生息していますが、水の流れ込みから酸素が供給されるため酸欠にはなりづらいです。
ザリガニも生き物ですので、酸素がなければ生きることはできません。
エアレーションがある環境のほうがエネルギッシュで元気に過ごせるため、ザリガニ飼育にはエアレーションは必要です。
共食い
ザリガニは共食いもします。
大人のザリガニを一緒に飼育する場合、始めは問題ないと感じていても、喧嘩により手足を引きちぎられて動けなくなった個体を、他のザリガニ達が餌として食べてしまいます。
そのため、ザリガニは基本的に単独で飼育する形がベストです。
冬眠の失敗
冬眠は餌を食べることもなく、エネルギーも使います。
冬眠に失敗し、そのまま餓死などが理由で死んでしまう生き物は、ザリガニだけに限らずたくさんいます。
ザリガニを飼育する場合は、気温は15~25℃以上をキープするようにしましょう。
冬眠させることで野生のザリガニは長生きすると言われていますが、私は飼育下では冬眠させないほうが死亡率を抑えられるため、冬眠はさせないようにしています。
脱皮の失敗
脱皮不全もザリガニが死ぬ原因の1つです。
脱皮不全の原因は、カルシウムやミネラル不足などです。
そのため、餌不足や質の悪い餌を与え続けていれば、脱皮に失敗して急死する可能性があります。
さらに、多頭飼いをしていれば、脱皮直後は殻が柔らかいため、喧嘩をした際に手足も千切れやすく危険です。
ザリガニの寿命によくある【Q&A】
ザリガニの寿命に対し、よくある質問についてまとめましたので参考にご覧ください。
アメリカザリガニのカラーで寿命は変わる?
アメリカザリガニには、黒色(ブラックキング)やピンク(ピンクデビル)など様々なカラーが生み出されています。
しかし、どれも同じアメリカザリガニであり、カラーの違いで寿命が異なるとの情報は見つかっていません。
とはいえ、カラーを固定するために近親交配を繰り返す必要もあるため、奇形が産まれやすくなるなどのリスクがあります。
そのため、繁殖状況によっては病気などで死にやすいカラーがいる可能性はあると予想します。
例えば、ラブラドールレトリバーのチョコカラーも他のカラーに比べて寿命が短いと言われているため、アメリカザリガニの場合も可能性はゼロとは言えません。
参考記事:ナショジオ
ザリガニは冬眠させると寿命が伸びる?
ザリガニは、低温になると活動が鈍くなります。
そして、冬眠中はもちろん餌を食べません。
野生下では、気温も安定しているため、安全な状況であれば越冬することはできますが、飼育下では温度管理を徹底しなければ、ザリガニにとって大きな負担となります。
冬眠中に餓死する個体も少なくないため、私は必ずしもアメリカザリガニか冬眠させることで寿命が伸びるとは思ってはいません。
ザリガニの寿命は謎も多い
ザリガニの寿命は、種類により平均寿命も様々です。
アメリカザリガニの平均寿命については、ネットでも数値がバラバラで参考にはなりません。
野生下、飼育下でも異なり、さらに餌や天敵、気温差などの違いもザリガニの平均寿命に影響します。
とくにロブスターの不老不死説は他の生き物にはない特徴で面白いですよね。
最後に、ザリガニを飼育する際には餌や酸欠、共食いなど死ぬ原因を作らないことが長寿の秘訣となりますのでご注意ください。